相庭は2011年12月27日に起業したんですが、

そのとき、社印という

会社の名義を彫ったハンコをつくりました。

印鑑登録に使う本格的なハンコです。

お世話になった行政書士さんの

オススメのはんこ屋さんで仕立てていただきました。

丸印と住所印がセットになって5,000円くらいの

「法人印鑑 会社設立セット」

というようなやつです。

高価な素材で作ったわけではありませんが、

輸入柘(つげ)のごくフツーのハンコです。

で、そのハンコ、

初めて押すときに気付いたんですが…

どちらが上かわからないんです。

フツーのハンコって、

どんな三文判でも

上となる方向に黒い点が打ってあったり

面が削ってあったりして、

押すときに上下を間違えたり

ナナメにならないようになっているはずです。

でも、

この判子には、それがない…。

不良品なのか?

ハンコを彫ってくれている人が、

印の黒点を彫り忘れたのか?

※最近のハンコはもちろん手掘りではなく、

IC旋盤という工作機械で、パートのおばちゃんでも

カンタンに彫れるようになっています。

まあ、押すたびに方向を確認すればいいだけなので、

いちいち送り返して、彫り直してもらうこともなかろう、

まあ、べつにいっか(笑)

と思って今日まで

このハンコを使い続けていたのですが、

しかし、

先日読んでいた本で、

この上下が分からないハンコの謎が

たまたま解けたのです!

欧米では契約にはサインを用いるのが当たり前ですが、

日本の場合はこれが「ハンコ」です。

じつは、

ハンコとは時として怖いものです。

僕らは商売人として

ハンコの怖さをよく知っておくべきです。

ハンコを押したら、

その証文を認めたことになります。

ノートの切れっぱしに

ちょこちょこっと覚書を書いて、

「とりあえず、ここに三文判でいいから押しといてもらっていい?」

と言われて、うっかり押したら、

それが公正証書として成立してしまいます。

浅草キッドの水道橋博士が

実家を出るとき、母親に言われた言葉が、

「ハンコだけは、絶っ対に押しちゃダメよ」

だそうです。

仲間の借金の保証人の欄に

うっかりハンコを押すようなことは、

絶対にするなということでしょう。

僕らもいろんな契約書などの書類に記入するとき、

「捨印」

と書いてあるところに、

なんにも考えずにすぐにハンコを

押してしまっていないでしょうか?

「捨印」とは

欄外に押す「訂正印」のことで、

あらかじめ押しておくと、その該当するページには

「何度でも」修正・加筆が可能になります。

本来はいちいち訂正印を押さなくて良いよう、

利便性のために使うものですが、

…つまり、署名者に不利なように

勝手に改ざんされてしまう可能性もあるということです。

他社との契約書に「捨印」欄があったら、

なぜ押すのか聞いたほうが良いです。

その後なにか書きこまれたら、

取り返しがつかないわけです。

ここで、

上下の分からないハンコが登場します。

実は、いいハンコは

手に持ったきにどちらが上下かわからないように、

わざとなっているんです。

どちらが上かすぐに分かるようなハンコは、

なにも考えずにすぐにポンと押してしまいます。

しかし、わからないハンコは

押す直前に盤面をじっと見ながら、くるくると回して、

「本当に押していいのだろうか」

と考える、間が生まれます。

だから、商売人のハンコは

上下がどちらか、わからないようになっているんです。

この話を読んだときは、

ちょっとした衝撃でした。

僕らは普段、

「○○輸入で月収○○万円稼ぐ方法!」とか、

目先のお金を稼ぐ話ばっかりを

求めがちですが、

そうやって頑張って稼いだお金が、

ハンコひとつで、ぜんぶ持っていかれる可能性だってあるわけです。

借金の保証人になんて、なるわけねーww

と思っていても、

ビジネスが回りだして

いろんな契約をするようになったら、

いつどこで、

どんなハンコを押す機会に遭遇するか

わからないわけです。

ぜひアタマの片隅にでも置いておいていただいて、

この後にハンコを押す機会があったら、

あなたのハンコにはちゃんと

上を示す目印がついていも、

一瞬、押す前に考えていただければと思います。

ご参考までに。

頑張っていきましょうー!