相庭です。

先日、ある用事で上京するため、

飛行機に乗った時のことです。

搭乗時間になってアナウンスが流れると、

搭乗口には、いつも長い行列ができます。

ゲートから飛行機の座席まで、

ずーっと続く長い列です。

荷物を収納するために

狭い通路で立ち止まってしまう人がいると、

そのたびに列は止まって、

みんなちょっとイライラしています。

僕もあまり飛行機に乗り慣れないうちは、

みんなといっしょに

搭乗開始後すぐに、列に並んでいたのですが、

しばらくして、

ばかばかしくなってやめました。

いまは列がすっかりなくなってから、

搭乗締め切り時間までの間に

余裕を持って乗るようにしています。

席はいつも通路側を予約で確保します。

列に並んでムダにイラつくのは嫌だし、

席はあらかじめ全部決まっているから、

早く乗り込んだからといって

いい席が取れるわけではありません。

いち早く自分の席についても、

離陸時間が来るまで、早く出発するわけではないし、

窮屈な座席にいる時間が長くなるだけです。

フツーに考えれば

フツーの事だったんですが、

ではなぜ、

ほとんどの人は、搭乗開始と同時に

我先に搭乗口へ殺到して行列をつくってしまうのか?

それは心理学でいう、

「社会的証明のワナ」

というやつでした。

それは、

「他の人と同じように行動することが正しい」

と思ってしまう傾向のことです。

多くの人が正しいと感じているほど、

その考えが正しいと思い込む度合いも強くなります。

どんなにばからしいことでも、

正しいことになってしまいます。

奇抜なファッションの流行や、株式やFXへの投資、

都会に住んでいて車を買うことや、

学校を卒業したら、何の疑いもなく就職することなど、

あとから思えば、

バカじゃないの?と思うようなことでも、

「みんながそうしているから」

という理由でやってしまっていることは、

社会にはひじょうに多くあります。

人間がつい、

こうした思考停止状態で行動してしまうのは、

それが人類進化の過程で、

生き残るためには必要な選択だったからです。

たとえば5万年前のあなたが

狩りをするために、仲間といっしょに平原を歩いていて、

とつぜん仲間がダッシュして前方へ走り出したとします。

あなたはどうするか?

ぜったいにその仲間の後を追って

自分も走り出すでしょう。

理由はその時わからなくても、

全力で走り、

仲間が見つけた危険から逃れるか、

または獲物を追って、

状況の確認はあとから行います。

その時代、

そういう反射的な行動をとれない人間は

生き残れず、やがて消えていき、

後世に遺伝子を残せなかったわけです。

つまりこうした行動パターンは、

人間の遺伝子レベルに

しっかりと根付いていて、

現代において

生死に関係ない場面においても、

僕らが他人と同じような行動をとってしまうのは、

そういうわけなのです。

そして今日では、

こういった「社会的証明のワナ」は、

ビジネスに利用される場面も

たくさんあります。

TVCMでよくある、

「売上げ、ナンバー1!」

と言っているのは、

「みんなが買っているから、あなたも買いなさい」

というメッセージです。

最たるものでは、

さいきん流行った、セミナー会場での販売手法ですね。

会場やセミナー内容に、あらゆる仕込みをして

通常より格安(に見せて)・会場限定で、

教材やスクールのバックエンド販売を行い、

申込みを殺到させる手法です。

「さあさあ、みんな買ってますよ!あなたも買わないと損ですよ!」

という感じの商法です。

もちろん、犯罪や詐欺ではないですが、

スレスレやちょっと危険なのもあるので、

今後は注意してくださいね。

一番売れているから、

みんなが買っているからといって、

その商品がもっとも優れていて

本当にあなたに必要なものとは限りません。

あらゆるビジネスシーンや

生活の場でも、

「社会的証明のワナ」

にひっかからずに、

行動の前に自分の思考をしっかりと挟んで、

正しく、合理的な判断をしたほうがよいです。

まあ、その場の空気、というものがあった場合、

露骨にそれを壊すことはないですが、

そういったときは、

静かにフェードアウトして、消えるのがコツです。。

ご参考までに。

頑張っていきましょうー!

相庭靖史