アリババは現在、米国史上最大になると見られる
新規株式公開に向け準備中であるが、
またしても国外展開の意志をあらわにした。

Singapore Post(SingPost;シンガポール郵便)株10%を
2.49億ドル(約250億円)で取得したのである。

同社は5月下旬にAustralia Postと協定を結び、
オーストラリア企業による中国での商品販売を、
タオバオとTmallを通して支援をすることになった。

だが今回のSingPostとの取引は逆に、
東南アジアのハブであるシンガポールとSingPostの強みを
利用して、中国の販売業者が周辺地域の顧客に
商品を販売することが目的のようだ。

ターゲットは同地域に住む中国系移民で、
マレーシアとシンガポール、インドネシアには
およそ1400万人いるとされる。

しかしこの内、中国語の読み書きが出来る者は
かなり少ないと思われる。

また、タオバオは東南アジア専門のサイトがあるが、
大部分が中国語で書かれている。

これらのことを考えると、成長の可能性は
限られているように思われる。

アリババは元々、海外企業と中国の部品メーカーを
つなぐことが目的で設立されたサイトであった。

しかし、香港と台湾に中国語サイトのタオバオがある以外は、
中国本土外へ拡張することには慎重で、今日では
商取引のほとんどが、国内での小売と消費者間取引となっている。

AliExpressと呼ばれる国際的な英語の小売販売サイトは
あるものの、商品のバラエティは少ない。

国際的な消費者売上は、12月締め9ヶ月間の収益で
わずか1.6%を占めるに留まっている。

より意欲的に海外展開するには、同サイトを大幅に改善し、
より多くの現地物流会社と提携することが考えられる。

今回の動きは、アリババがもつ長期的野望のヒントを示しており、
SingPostとの取引は、今後のために何かを学ぶ、
あるいは新たな地域へ拡大する際のプラットフォームとなるだろう。

しかし、国外の主要市場には既に定評のある同業者がいる。
これらの企業相手にどのように競争するのかが、不明確だ。

アリババが中国市場で有利なのは、自国の顧客を
理解しているからであり、これが外国の競争相手を
打ち負かしている要素の一つでもある。

更に言うと、新規株式公開出願でも主張されているように、
中国のオンライン消費は今後3年間で、複利年率が
27%上昇すると予測されている。

アリババは、国内でもまだ成長し続けているのだ。

新規株式に投資しようと考えている者は、アリババの
国内成長を常に見据えるべきだ。

アリババにとっては国内が最も熱い市場なのだから。

THE WALL STREET JOURNALより引用
http://on.wsj.com/1pTkWan