■海外製品の人気が高まる中国
今年は50兆円規模に達するともいわれる中国通販市場で
阿里巴巴集団(アリババグループ)は8割のシェアを誇る。

この数年、中国では所得水準が上がり、
化粧品や食品などの日用品は
信頼できる海外の商品を求める傾向にある。
そのため、海外製品を扱う通販サイトの動きが活発だ。

米Amazonは中国での事業拡大を急いでいる。
アリババの天猫国際(Tモール・グローバル)でも
中国の規制に縛られずに販売できるシステムを作り上げた。

これまで日本企業では「ユニクロ」や「無印良品」などが
Tモールへ参入してきたが、
成功は一部大手企業に限られていた。

■口コミが集客のカギに
アリババTモールへの進出には
中国流の販促ノウハウがあるようだ。

大阪市に本社がある「エフカフェ」は
今年4月、Tモールにショップを出店した。

扱う商品は天然酵素を配合した日本製のサプリメント。
60粒入りを118元(約2000円)で出品している。
売り上げは好調で、8月は1千万円に達したという。

エフカフェの高岡正人取締役によると、
「店舗レビューのケアが欠かせない」という。
5人の中国人スタッフをチャット対応のため常駐させている。

サイト内のレビュー欄に体調の変化などが書き込まれると
即座に連絡を取り、顧客にその詳細を聞く。
成分、効能などを細かく説明して、
商品には問題がないことを知ってもらう。

中国の通販サイトでは「口コミ」がカギとなる。
Tモールは店舗レビューで消費者が出店者を評価し、
そこで高評価を得ると、
ミニブログ「微博(ウェイボ)」で評判が上がる。

エフカフェは店舗レビューに力を入れることによって
5点満点の中で4.8~4.9点と高評価を続けているのだ。

■日本企業参入のチャンス到来か
Tモールへの日本企業進出を支援する
上海斉優商務諮詢の久能克也パートナーは
「日本の良質な商品を求める消費者の厚みが増した」と話す。

人気がある日本製品は日用品や殺虫剤などの衛生商品。
生活に密着した商品で信頼性の高いものが求められている。
今後の成長が期待できる魅力的な分野だといえる。

Tモールで扱われる日本製品はまだ300~400程度。
中国通販のノウハウをうまく活用すれば、
中小企業が成功するチャンスも十分にあり得る状況だ。

「日本経済新聞」より引用