近頃、Amazonといえばオンラインショップの代名詞となっている。
多くの新規eコマース企業にとって、自社サイトを立ち上げると同時に、
Amazonで商品を売ることが急務となっているのもうなずける。

「Amazonで売ることは自社にとって有利になるだけだ」
こう考えても無理はないが、果してそうだろうか。

問題はそれほど単純ではない。
多くの企業が、Amazonは最初に考えていたほどよい「友人」
ではないと気づき始めている。
実際のところ、Amazonは
「フレネミー(友人のふりをする敵対者)」的な存在だ。

問題の本質はこうだ:
企業は利益率の高い、直販を目指してサイトを始める。
しかし、Amazonとの関係は競合相手を作りだすことになる。
そして、市場での力はAmazonの方が大きい。

Amazonはさらなる需要を掘り起こす助けになっているのだろうか。
あるいは、すでに出来上がった自社ブランドの知名度を
使い果たしていくだけだろうか。

Amazonとの関係を始める前に考えるべき点は以下の4つだ。

1. Amazonのマーケティング・マシーン
現在Amazonのウェブサイトへの訪問者数は世界第10位だ。
商品サーチをかければ、そのブランドのサイトよりも
Amazonが上位にくる可能性が高い。

Amazonからでも人々が商品を買えば、
利益になるので問題はないと思いがちだが、
Amazonで売れば利益率は落ちる。
その価値があるかどうか考えなければならない。

2. Amazonへの忠誠心
Amazonとの関係で利益率以外に考慮しなければならないのが、
ブランド構築と顧客との関係作りだろう。

企業は、Amazonから商品を買う消費者とは
顧客関係を作りだせない。

また、Amazonは「アマゾン・プライム」という
強力なロイヤルティ・プログラムを展開しているため、
同じ商品を繰り返し買う顧客がいても、
それがAmazonへの忠誠心なのか、
ブランドへの忠誠心なのか分からない。

3. マーケティング有効性の問題
Amazonと関わる企業は、
自社マーケティングの有効性も分からなってしまう。

例えば、自社で買った有料サーチ広告を見て商品を知った顧客が、
「Amazonプライム」に入っているので、
Amazonのサイトでその商品を買ったとする。
広告は顧客転換率に繋がった訳だが、
その企業の顧客転換率には計算されない。

これはディスプレー、facebookでの広告、検索エンジンの最適化、
その他のいかなるマーケティング活動でも同様のことがいえる。

4. 競合相手に与える露出
最後の問題は、Amazonはその企業の露出を増やすが、
一方では競合商品の露出も増やしてしまうことだろう。

例えば2013年に大ヒット商品のひとつに
グーグル・クロームキャストがある。
Amazonで「クロームキャスト」を検索すると、
競合商品である「ロク」の紹介も現れる。

単一商品しか扱わないスタートアップ企業にとっては、
Amazonのこのやり方は脅威となるだろう。

ではどうするか?

Amazonとの関係に「正しい」答えはない。
しかし、Amazonとの「フレネミー」関係を深く考えずに、
とにかくやるべきだとしてAmazonとの関係を始める会社が多い。

Amazonは短期的な利益には繋がるが、
長期的には自社のブランドを確立する助けにはならない。
この点はよく考えるべきだろう。

Amazonと関係を始める最良の理由は、ブランドの成長に繋がる露出だ。
すでにその企業の商品やブランドを欲しがっている客に、
Amazonの力を使って商品を届けるというものではない。

Amazonとの関係に飛び込む前に 、
Amazonが自社のブランド戦略にいかに影響を与えるか、
を理解することが重要だろう。

Business2communityより引用
http://www.business2community.com/strategy/amazon-keep-friends-close-frenemies-closer-0829732#!DmC9j