米Amazonが無料配送を始めたのは2005年1月。

年会費79ドルを払ってプライム会員になると
「2日以内に無料配送」という特典がつく。

その前は25ドル以上の注文で送料無料という
一般的によくあるサービスを提供していた。

この無料配送サービスにより
毎年平均34%という驚きの売り上げ増に。

でもその一方で営業利益率を圧迫。
ピーク時の04年の6%から11年には2%にまで下落。

原因は売上高の約9%をかけるという
配送経費と物流センター構築への投資だ。

●ラストマイル問題
Amazonが利益を出していないといっても
それに対抗しなければならない米大手小売店。

両者は今、ラストマイル問題をめぐって
死闘を繰り広げている。

ネット通販では、物流拠点から客の自宅まで
いかにコストをかけず、早く届けられるかが成長のカギ。

Amazonは米連邦航空局の許可が下りれば
15年中にも無人飛行機「ドローン」での配送を始めるとPR。
物流センターから30分以内に配送できるとしている。

また都市部で1時間以内の有料のバイク配送、
プライム会員なら無料の2時間配送テストも開始。

一方、大手小売店は
Ship from Store(店舗からの出荷)戦略で対抗。

Amazonの米国内の物流センターは60以上あるが、
ウォルマートは4400店舗、メイシーグループ
(メイシー、ブルーミングデール百貨店)は850店舗を持つ。

ウォルマートは物流拠点として店舗をネットワーク化するため
プラットフォーム構築に約510億円も投資した。

こうしたリアルタイム在庫データベースの構築を進めれば
結果的に小売業の3大ロス(損失)の減少を実現できる。
値引きによるロス、廃棄によるロス、そして販売機会ロスだ。

Amazonの脅威により、米国小売店がムダを排除し、
利益を向上させることができるといえる。

●Amazonの無料配送はいつまで続く?
Amazonが利益も出さないのに投資を続けてこられたのは、
ひとえに株価が高かったため。

しかしその株価も14年ごろから下落傾向にある。
これまでの20年間と同じように
利益を出さずに投資家を引きつけておくのは難しい。

クラウドサービスや広告などの収入がふえているとはいえ、
プライム会員がふえれば、その分配送経費がふえていき
このまま無料配送を続けて利益が増大するかは疑問。

今後は配送料を有料化せざるを得なくなるだろう。

どの企業も無料配送サービスは本音ではやりたくない。
Amazon1社に対抗するため嫌々やっていただけ。

フランスではいわゆる「反Amazon法」として
Amazonの無料配送を法律で禁止している。

Amazonの勢いが減速していけば
10年後に米国で無料配送がなくなっていても驚きではない。

「ビジネスジャーナル」より引用
http://news.livedoor.com/article/detail/9788439/