アジア地域でのeコマースの隆盛ぶりからして、
「購入する」ボタンのアジア地域への導入は時間の問題だと、
オンライン小売の専門家は言う。

「購入する」ボタンは滞在サイトを去ることなく買い物ができる機能だ。
購入の際の個人情報を保存する選択肢を消費者に与えることで、
マーケッターがそのデータを利用できるメリットもある。

Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSが今年はじめに
アメリカ本国でこぞって「購入する」ボタンを発表し、
検索エンジン大手のGoogleまでもが購入ボタンを導入するだろう話もある。

しかしアジア地域で高い浸透率を誇るスマホからのeコマース売上を見ると、
購入ボタンの本当の可能性はアジアにあると専門家は見ている。

「”クリック”ボタンは”購入する”ボタンにとって代わられるでしょう」
とバンコクベースのeコマースハブ大手aCommerceの地域CEO、
Paul Srivorakul氏は言う。

「大手プラットフォームの多くがその方向で動いています。
Apple Pay、Google Wallet、eBayとPayPal、AlibabaとAlipayもです」

アジア地域で最高浸透率を記録しているSNSもいくつかあり、
来年には現在のeコマースけん引役である北アメリカ地域をしのぐだろう、
とeMarketerは予測する。

特に中国は今年、アジア地域のeコマース売上の5割を占めると見られ、
2018年にはその割合は70%に上るだろうとされる。

Mazusのデジタル分野地域顧問のAndy Radovic氏はこう語る。
「アジア地域は他地域に比べて断然eコマースへの入れ込み具合が大きく、
従って購入ボタンは上手く機能するでしょう。

特に、消費者が何でもネット上のプラットフォームで購入する
中国のようなマーケットでは、すでに購入ボタン導入への環境は整っています」

韓国、日本、東南アジアの一部地域を含め
5億6千万人のユーザーを抱えるLineもまた、この流れに乗っている。
最近では新たな支払いサービスLine Payを発表した。
中国のWeChat Payが3月に始動したことも記憶に新しい。

中国だけをとってみても、今年10月までにAlipayを通して行われた
モバイル支払いは取引全体の54%に上った。

「購入ボタン革命はFacebookによって牽引されるでしょうが、
一度ロールモデルが出来上がり普及すれば、
企業は他のプラットフォームに目を向けるでしょう」と、
デジタルマーケティング代理店EmarsysのOhad Hecht氏は言う。

氏は更に、購入ボタンはeコマース大手のありババが支配する中国で
人気が出るだろうと予測している。

中国のあとは、購入ボタンは韓国、日本で浸透するだろうと見る。
eコマース基礎がしっかり出来上がっているニュージーランドや
オーストラリアもそれに加わるだろう。
インド、他東南アジア地域はは2015年後半に追いつくだろうとしている。

しかしHecht氏はプライバシー保護の脆弱性が
問題になるかもしれないとも指摘する。
企業が詳しい個人情報にアクセスできるようになることを
良く思わない人もいるからだ。

さらに企業がこぞって購入ボタンを付けることで、
消費者にブランドをどう見せるか、の差別化が難しくなるとも言っている。

ClickZより引用
www.clickz.com/clickz/news/2385829/buy-buttons-to-soar-in-asia-in-2015