スマホが生活必需品となっていくなか、
中国のインターネット・セクターは新たな発展段階を迎えている。
多くの企業がパソコンからモバイル機器向けにビジネスを移行しており、
オンライン・チャンネルでのビジネスチャンスは増している。

スマホの一般生活への普及は、
中国国内で作られる価格の低いスマホによって支えられていて、
特に田舎ではその傾向が顕著だ。

ほとんど100%のモバイル普及率のある国では、
インターネットのビジネスチャンスは、モバイル・ゲームやeコマース、
それに新たなモバイル支払形態によりさらに拍車がかかっている。

2013年の終わり、中国での携帯電話利用者の数は10億を超えた。
そのうちの半数以上がスマホ利用者だった。
IT分野の調査を行うガートナー社は、今年、中国のスマホ普及率は90%、
またはそれを超えると予測している。

しかし、海外から中国へのスマホの出荷台数は、
2013年の第4四半期と前年同期四半期を比べると4.3%減となっている
。前四半期比でマイナスとなったのは2011年の第2四半期以来だ。

中国のスマホ普及率の高さ理由のひとつは、
レノボ、小米(シャオミ)、酷派(クールパッド)などの中国国内スマホブランドが
製品の価格帯を、最新アップルiPhoneの半額程度に抑えているからだ。

中国でのスマホの販売価格の平均は、2011年の2,321元(約38500円)から、
2013年の1,773元(約29000円)に落ちている。
また、廉価版のスマホはさらに安い価格がつけられている。

このような、国内で生産される値ごろ感のあるスマホの台頭により、
田舎に暮らす人々は、スマホを使って生まれて初めて
インターネットにアクセスできるようになった。

中国のITコンサルティング会社アナリシスの最近の調査によると、
モバイル機器利用者の62%は1ヶ月の収入が4000元以下の人々であり、
その多くが出稼ぎ労働者であると言う。

一方、中国政府は第12次5カ年計画で田舎の人々の暮らしを
都市の人々の生活に近づける方向を打ち出し、
「ブロードバンド中国戦略」として、
2020年までに固定ブロードバンドの普及率を85%、
3G/4Gの普及率を95%までにすることを目指している。

最近のFacebookによる190億ドルの(約1兆9000億円)whatsapp買収は、
モバイル・インターネット上での課金の可能性を示している。
一方、中国の騰訊(テンセント)が提供しているメッセージアプリ、
微信(ウィーチャット)はその明確な戦略、
利用者の数とその課金戦略においてワッツアップを超えている。

多くの投資家はこの可能性を理解しているようで、
2013年だけで騰訊(テンセント)の株価は90%上昇した。
微信(ウィーチャット)は中国で6億人(海外で1億人)の利用者があり、
他社では追従できない数字となっている。

また、アジアは世界中でもコンピューターゲームの利用者が最も多い地域で、
アジアでのモバイル・ゲームからの収入はこの2年間だけでも5倍となった。

中国では特にエンターテインメントがインターネット利用率の重要な要素だ。
オンラインゲームは、アクセスの良さとその価格の手頃さで、
低所得の若者たちの間で大人気となっている。
騰訊(テンセント)では2010年以降オンラインゲームからの収入が
全収入の50%以上を占めている。

iリサーチ社によると、中国では2013年のスマホゲームからの収入が
2012年の約5倍にあたる92億ドルに達し、
今年はこの数字が2倍になると予想されている。

2011年のモバイル・ゲームのシェアはゲーム全体の11.6%だったが、
2012年には20.6%に伸び、一方PCゲームは同じ時期にそのシェアを
76%から65.5%に落としている。

次回は、スマホが中国のeコマースに与える影響を報告する。

Fidelityより引用
http://www.fidelity.com.au/insights-centre/investment-articles/chinae28099s-mobile-internet-industry-is-booming/