前回は中国の高まるスマホ普及率の話をしたが、
今回はその続きとなるモバイル機器を使った中国のeコマースの話題だ。

スマホの高い普及率によって、中国ではモバイル・インターネットが
eコマースの新たな成長のエンジンとなっている。
その手軽さと費用対効果によりショッピングはブームを迎えている。

eコマースの利用者は贅沢品を買う都市の富裕若者層だけではなく、
田舎に住む人々も自分の町や村では手に入らない商品を買っている。
2013年、クレジットカードなどを使ったオンライン上での取引額は19億元に達した。
iリサーチ社によるとこれは中国の総小売売上げの7.8%にあたるという。

また、中国のモバイル・ショッピング取引額は165%の伸びをみせ、
1680億ドルに達している。
これはオンライン・ショッピング全体の9%にあたる(2012年では4.8%)。
そして2017年までには1兆になると予測されている。

これは、総eコマース(企業対消費者、消費者同士のネット上の売買・取引)の
約25%を占める数字だ。

中国人がオンライン・ショッピングにパソコンではなく
モバイル機器を使い始めているのには2つの大きな理由がある。
ひとつはアリババやJDのような巨大eコマース企業が、
積極的なプロモーションから利用者にモバイル・ショッピングを勧めていること。

ふたつ目は、消費者がモールに足を運ぶのではなく、
少しの空き時間にスマホやタブレットを使って買い物をし始めたことだ。

騰訊(テンセント)は、微信(ウィーチャット)の利用者の数とその機能により、
モバイル・コマース業界では最も有利な地位にいると言っていいだろう。
2014年の新年に微信(ウィーチャット)は
紅包(レッドパケット)というプログラムを展開した。

これは、利用者が友人や指定したチャットグループに仮想通貨を送れるものだ。
この動きは、将来、微信(ウィーチャット)がモバイル財布になる道を示している。

アリババの来往(ライワン)や網易(ネットイーズ)の易信(イーシン)、
蘇寧(スニン)の伝信(ヤンシン)など、
ほかのeコマース企業も同様なインスタント・メッセージアプリを立ち上げ、
ユーザーの獲得に動いている。

アリババなどは、PC分野での強力な存在によりeコマースの最大手
(消費者同士の売買の90%、企業対消費者の50%を占めている)となっているが、
モバイル分野ではまだ遅れを取り戻すことが必要となっている。

中国のeコマースが成熟段階に入るにつれ、その焦点は、
迅速な配送や安価な倉庫スペースの確保を含めた、物流に変わりつつある。 
2014年の1月、騰訊(テンセント)は、倉庫へのアクセスと物流ビジネスを得るために
華南城(チャイナ・サウスシティ)の9.9%を買収した。

この買収の前、アリババは、20億ドルを投資し、
白物家電のサプライヤーであるハイアール電器と
物流分野での戦略的パートナーシップを組んだ。

この「有形なものとオンライン」を組み合わせたサービスの統合の流れは今後も続き、
垂直統合による合弁・買収取引も近い将来さらに発生していくと予想される。

実際、騰訊(テンセント)やアリババは、
自社の既存ビジネスにシナジー効果を生み出す企業に対し
投資をおこなう非公開株式投資部門を立ち上げている。
これらの動きは投資家に絶好の投資や売買チャンスを与えることになる。

Fidelityより引用
http://www.fidelity.com.au/insights-centre/investment-articles/chinae28099s-mobile-internet-industry-is-booming/