質素な生活をモットーとするドイツ人は
買い物に極めて慎重と言われてきた。
2008年の利下げ以降、その割合は減ったものの
一般世帯は未だ所得の10%を貯蓄に回している。

ドイツの多くの企業、特に政府系と化学部門が
過去数ヶ月の間に2-3%の賃上げをしたため、
消費に回せる資金が増えているはずだが、
10%の貯蓄率はしばらくは変わりそうにない。

文化的に根強い貯蓄の習慣は
経済的影響をあまり受けないように見える。

ドイツ人消費者は一般的に、
わざわざ借金して高価なブランド物を買うことより、
値引きや実際性を求める。

現在、金利があまりに低いため、
消費が貯蓄より実際的な選択肢になるという
皮肉な結果になっている。

業者側もそれを機に現金を得ようと、
たくさんの値引きキャンペーンを行っている。

それが功を奏していることは、
2014年の数字から明らかだ。

政府系Destatisの統計では1月の小売純売上は
前月から2.5%、過去7年で最高を記録した。
2月も1.3%と更に上昇。

第一4半期のドイツのヨーロッパ他国からの輸入は、
前年同期比で8.4%増えた。また失業率が
東西ドイツ統一以来最低となったことで、
今後中期的な賃金の上昇が予測できる。

消費にもっと回すことができるようになった
ドイツ人のお金はどこに行くのか?

オンラインショッピングがその答えだ。
スマホとタブレットの普及と
小売業のオンライン参入の相乗効果で市場は急拡大、
ドイツはオンラインショッッピング人口でEU一となった。

具体的には92%のネットユーザー
(14歳以上の人口の71%で約5000万人)が
オンラインで常時買い物をしている。

2020年の市場規模は、2012年の3倍、
1000億 ユーロ(約14兆円)と専門家は見積もっている。

現在欧州全体のeコマースを見ると、
ドイツでの売り上げは総売上げの25%、
ドイツ企業の売上げは6分の1となっている。

そんな中で見られる傾向は、
オンライン店と通常小売店の補完化だ。

87%の消費者が小売店で買い物をする前にオンラインで下調べをし、
71%が小売店でアドバイスを得てからオンラインで買い物をしている。

オンラインシステムは
ドイツ人の買い物の習慣を変えるというよりは、
高度化していると言える。

つまり実際に商品を触ったり見たり
販売員から情報を得るという習慣は維持しつつ、
オンラインで比較検討したり宅配の便利さを利用するのだ。

(後半に続く)

Internetretailer.comより引用
http://www.internetretailer.com/commentary/2014/05/05/e-commerce-opportunities-europes-strongest-economy