香港でのモバイル技術に対する関心は高く、
スマートフォンの利用率は63%と世界トップクラスだ。
GoogleとIpsos MediaCT(イプソス)の2013年の共同調査によると、
香港ではスマートフォンの利用者の96%が常にインターネットを閲覧しているという。

香港はインターネットの接続スピードは世界一速く、人々は買い物好き。
その上、世界中のエリートビジネスマンを魅了する国際都市であるにもかかわらず、
eコマースやモバイルコマース(mコマース)に関しては他国より遅れている。

スマートフォンの普及率は63%と米国の56%を上回ってはいるが、
モバイルショッピングを行う人の割合は43%と米国の46%を下回る。
モバイルの普及率は高いにもかかわらず、モバイル市場は小さく、
eコマース企業は薄利多売の状況だ。

隣の大国ではなく香港にターゲットをしぼった多くのeコマース企業にとって、
この現状は納得のいくものではない。
しかし、大きな市場がますます飽和状態となっている今、
香港でのeコマースやmコマースの可能性を探る、という選択肢もある。

香港の大手小売企業に勤めるオンライン戦略業務の担当者は言う。
「香港では携帯電話の利用者はとても多いが、
そのほとんどが大きなショッピングモールから30分圏内のところにいる。
そういったこともありモバイル店舗への関心は他の国や地域とは違うと思う」

The Founder Instituteの香港支部長であるセドリック・デルゼン氏は、
香港でのeコマースを「マーケティング担当者の悪夢」と呼び、こう語る。
「香港は費用がかかる割には市場が比較的小さい。
モバイルの普及率は世界的にも高いが、eコマース普及率とは比例しない」

唯一プラスなのは、デザイナーズブランドのオンラインビジネスだ。
少なくとも平均的な購入額は欧米諸国よりも高い。
もっとも、欧米諸国の適正価格はvente-privee.(ベンテ・プリビー)のような
期間限定セールを売り物にしたサイトによって既に崩壊している。

PetProject.HK,やLifeProject.HK、Toddler.HK(トドラー)などの
創立者兼CEOであるニシャント・カプーア氏はこう述べている。

「香港には小売店が集まる多くの商業施設があるが、
とてつもなく高い賃料により出店できる業者は限られている。
高い賃料で割り当てられるスペースはわずかだし、
小売業者も危険を冒してまで出店する余裕はない。
また施設側も高いマージンを得られる高級ブランド品や大衆品に固執しており、
他とは違うものを提供する小さな独立店舗は生き残れない」

Wan ChaiやSham Shui Po(深水埗)の電気街がその良い例と言えるだろう。
店舗は多いが皆同じようで、特化した商品はない。
しかし、カプーア氏は現状をこう説明している。

「香港でのe-コマース事業にとってこの状況はチャンスだ。
卸問屋には、商品をさばく場所を確保できない中小規模の輸入業者や
代理店から運ばれてくる膨大な量の商品がある。
消費者はさらに多くの商品を必要としており、
そのギャップを埋めることができるのがインターネットだ」

中編に続く。

Marketingより引用
http://www.marketing-interactive.com/features/state-online-commerce-hong-kong/