eコマースに関する限りイランは未踏の地だ。
年間総売も国内総生産の0.7%と、
隣国トルコやアラブ首長国連邦の数字を下回る。

だが、アナリストはこの市場の膨大な可能性に目をつけている。

ハイテクに強い若者、35才以下が総人口の70%を占める同国では、
インタネット普及率が55%、携帯は126%と中東一だ。

優れたデビッドカードシステムが近年国内取引きに導入され、
オンライン決済への信頼が高まっていることも追い風だ。

もちろんeコマース市場への障害も大きい。
世界各国から経済制裁を受けているイランでは、
オンライン企業がeコマースソフトのライセンスを取得できないでいる。

またPayPalなどの信頼できるオンライン国際送金システムは存在せず、
外資企業による投資もほぼゼロだ。
企業がFacebookやGoogleなどに広告を出すことも許されない。

同国の宗教的指導者は退廃的な西洋文化など、
インターネットのもたらす若者への悪影響を恐れ、
国民生活へ様々な規制を設けている。

YouTube, Facebook, Twitter を含む多くのサイトでは
インターネットのスピードが意図的に遅くなるように設定されている
(違法ソフトで通常に戻すことは可能だが)。

煩雑な役所手続きで、
オンライン小売業者のライセンス取得は遅れる一方、
またeコマース業界には起業家を育てる
ベンチャーキャピタルや支援システムもほぼ皆無だ。

投資家が短期利益を求めることを良しとしない文化、
消費者が商品を実際に手に取って値段交渉をする習慣もeコマースの壁だ。

中道派ハッサン・ローハーニ政権はインターネットの検閲緩和は試みたが、
司法当局のタカ派、エリート組織である革命防衛隊、
及び議会の反対に会い成功に至っていない。

しかし良いことも起こりつつある。
通信省がこのほど3Gと4Gのライセンスを国内モバイル大手二社、
Hamrahe Aval と Irancell MTNに与え、高速ネット接続を可能にした。

これでプロバイダーは国内顧客に対して、
回線容量を毎秒10メガバイトまで拡大できるため、
ネット上で商品のビデオや画像が見やすくなる。
eコマースへの投資家は、加速的市場の拡大を見込んでいる。

多々ある障害にもかかわらず、
イラン国内には1万5千のオンラインショッピングサイトが存在する。

ただし手続きの遅れで、
営業ライセンスを取得しているのはそのわずか3分の1だ。

後半へ続く

gulfnews.comより引用
http://gulfnews.com/business/economy/iranian-e-commerce-thrives-despite-obstacles-1.1393624