中国の電子商取引最大手アリババグループは
9月19日、ニューヨーク証券取引所で上場した。
資金調達額は約250億ドル(約2兆7千億円)。
史上最大規模の調達額になった。

アリババグループに注目するのは投資家ばかりではない。
経済発展の波に乗るブラジルでも
アリババは急速に業績を伸ばし、顧客を拡大しつつある。

ブラジルはこの10年で数百万人が中産階級へ流入した。
しかし、ブラジルの消費拡大には大きな壁がある。

それというのも、自由貿易協定の締結数が少なく、
国内産業を保護する政策が経済効率を妨げているからだ。
その結果、輸入品でも国産品でも
米国よりはるかに高い価格で購入せざるをえない。

2012年、ブラジル人の年収平均は1万ドル。
米国の3分の1を少し上回る程度の年収額だ。
物価高に困るブラジル人は今、安い商品を求めている。

ブラジルのインターネット利用者数は現在世界5位。
この数年で、利用者数は急激に増加し、
とくに検索、動画、ソーシャルメディアの利用率において
めまぐるしい成長をみせている。

市場調査会社コムスコアは
「インターネット企業でありながら
ブラジルに進出しないのは大きな間違いだ」という。

そこへいち早く乗り込んだのが、
かねてから海外進出の夢を抱いていたアリババグループ。

アリババ運営サイト「AliExpress」をポルトガル語に翻訳し、
ブラジルの消費者と海外メーカーとの取引を可能にした。
卸売価格で買い物ができる環境を作り上げたのだ。

これに多くのブラジル人が飛びついたのは言うまでもない。
昨年7月は150万人だったAliExpressのユニークユーザー数が
今年7月には1200万人を超えた。前月と比べても40%増だ。

ブラジル小売サイトの閲覧数を見ると、
国内のEbazar.com.br Ltdaが運営する「メルカド・リブレ」や
NS2.Com Internet SAの「ネットシューズ」などに次いで
アリババのAliExpressは第6位まで伸ばしている。

ブラジル国営の郵便電信公社「コレイオス」によると、
2013年後半、アジア各国からの出荷数は約2倍増だという。

昨年度、アリババの年間売上高84億6000万ドルに対し、
海外取引枠は約9%程度しかなかった。
しかし今年は海外小売事業が139%拡大した。
これが米国での上場を後押ししたものとみられる。

投資家だけではなくブラジル人消費者にとっても
アリババの台頭は願ってもないチャンスだったに違いない。

「THE WALL STREET JOURNAL」より引用
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052970203714004580151241087215122