ベトナムの大手eコマース企業のひとつ、MobileWorldは、
厳密に言うとeコマース企業ではない。
大型の実店舗を構え、かつeコマースサイトも経営している。

2014年4月までの総売り上げの15%が、
ウェブサイトを通してのものだ。
MobileWorldは5年以内に、
この数字を20%まで引き上げたいと考えている。

基本的に、MobileWorldの客は実店舗に行き、
欲しい商品を手にとってチェックした上で、
MobileWorldのウェブサイトで買い物をする。
ウェブ上ではディスカウントがあるからだ。

もし客が実店舗の近くに住んでいれば、
最短30分で品物を受け取ることができる。

このように、MobileWorldは、
ベトナムのオムニチャンネル(全販路)方式の一例だ。

ベトナムの大手不動産企業で、
巨大モールチェーンを経営するVingroupは、
モール内にeコマース部門の建設を企画している。
この先のeコマース時代に投資しているのだ。

反対に、ベトナムで最初の、そして最大のeコマース企業VatGiaは、
オンラインからオフラインを目指している。

VatGiaはCtoCマーケットプレイスで有名だが、
新たにBtoCモデルも始めようとしている。
ただウェブの元データが非常に混乱しているため、
移行作業が停滞していると言われている。

そこで、VatGiaは新しいブランド、CucReに可能性を見出している。

CucReは実店舗のBtoCモデルだ。
一般的によく知られている10店の小売店を用意し、
顧客に安心感を与えている、とVatGiaのCEO、Nguyen Ngoc Diep氏は言う。
CucReはハノイとホーチミンに店舗を拡大する予定だという。

ベトナムの大手企業が、オムニチャンネル方式を強く意識しているのは明確だ。
オンラインストアと抱き合わせで実店舗を用意するのは、
ベトナムの消費者が抱える以下のような問題を解決するからだ。

・実際に品物を見て帰るという安心感
・現金で買い物ができる。ベトナムはクレジットカード普及率が低い
・自宅で荷物を待つ必要がなく、実店舗に受け取りに行くことができる。

実店舗を開く予算があるなら、開くことをオススメしたい。
カスタマーサービスからの電話料や、配送業者のコストをカットできる。

さらに消費者は、この方式で多くの選択肢を享受できる。
同時に、この方式は何をもってeコマースとするか、
の定義をより曖昧にするだろう。

しかしそれは消費者には関係のないことだ。
彼らにとって一番重要なのは、
より簡単に商品を手に入れることだけなのだから。

TECH IN ASIAより引用
http://www.techinasia.com/offline-online-ecommerce-vietnam/