哲学者のヤン・ダラーリオ氏のプレゼンのテーマは愛。
あなたは愛とはどんなものだと思いますか?
モノに対する愛と、人に対する愛は全くの別物ですが、
では、人に対する愛とはいったいどんなものなのでしょう?
ダラーリオ氏は現代の愛を
「(愛する人から)望まれたい欲求」だと位置づけます。
大昔は人は性別や年齢などによって、決められた役割を果たせば
社会全体から認められ、愛されていました。
若い女性は結婚まで純潔であるべきであり、
兄弟の末っ子は長男に、長男は家長に、従うべき。
そういったコミュニティの規律を守っていれば、
愛を得て、自分を確立することができたのです。
でも、現在は違います。
近代化以降の社会において人は、「愛に値するだけの価値」を求める様になり、
人の価値を値踏みするようになったからです。
見た目や年齢、社会的地位、財産……
そういったものを気にしない人はいないでしょうし、
周囲に認められたいがために高価な買い物をします。
誰もが素晴らしい人を求め、
自分自身も完璧な間であろうとするのですね。
しかし、相手から完璧に見られたい、
そして相手にも完璧でいてほしい、
そういった願いに囚われたカップルは
ほんのわずかの失望でも愛を見失ってしまうことでしょう。
愛を得るために、あるいは与えるために必要なのは
完璧であることではなく、優しさです。
お互いに弱さや不器用さを受け入れる優しさがなければ、
愛を得ることは適わないのです。
非常にユーモラスな語り口で笑わせてくれるダラーリオ氏のプレゼンですが、
実はかなり痛いところを突いている、そんな風に思いませんか?
TED Ideas worth spreading* より引用
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